アジア太平洋マネジメントからのお知らせ

再生企業に対するDDS(劣後ローン)導入のお知らせ

アジア太平洋マネジメント(代表 青木道生)では、取締役を務める再生企業に対して、当該地域での第1号案件となるDDS(劣後ローン)の導入(コベナンツ(財務制約条項)無し)に成功致しましたため、下記のとおりお知らせ致します。

DDS(Debt Debt Swap)とは、負債(Debt)と負債(Debt)を交換(Swap)する手法であり、通常の借入金を劣後化し、返済順位を最劣後とします。長期借入金が100,000千円の計上があり(固定負債100,000千円)、内30,000千円部分を劣後化すると、長期借入金70,000千円、劣後ローン30,000千円(固定負債100,000千円)と分解されます。

この固定負債100,000千円の内の劣後部分30,000千円は、期間中に返済が生ずることも無く、また返済順位が劣後化されているために、財務分析上は実質的な純資産(自己資本)として見做すことが出来るようになります。即ち、B/Sの毀損をDDS見合い分薄めることが出来、他行からのニューマネーの調達可能性を拓きます。

DDS導入に際しての審査プロセスでは、

①P/L改善のトレンドと、今後のP/L改善の可能性は高いか

②DDS導入期間中に債務超過の解消は可能か

③エグジット(DDS見合い分の一括償還又はリファイナンス)時のCFは確保可能か

④期間中のモニタリング体制が確立されているか

⑤DDS導入後、他行からの呼び水効果(ニューマネーでの追加融資)は十分に期待されるか

といった点が、重点的に協議されました。当該企業では新たな体制を構築すること無く、従前のP/L改善トレンドとモニタリング体制、また他行からの支援体制に一切の懸念無く、案件打診・面接・審査開始後より1週間未満という短期間において、高度な金融手法を利用した再生案件の承認に至ることが出来ました。

本件導入の決定後、他行からのニューマネー導入の提案及び既往債務に対する貸出金利引下の提案が相次ぎ、同社の財務安定性は飛躍的に向上致しました。但し、本件DDSは高度な金融スキームであり、債務者にとって調達見合い(劣後見合い)分を財務分析上、純資産と見做すことが出来るということは、債権者(金融機関)にとっては劣後化期間中、債権放棄を行っていることと同様と考えて差し支えありません。そのため、導入に際しては相当にハードルの高い審査・面談が繰り返され、スムーズな案件承認に至るケースは僅少であることが一般的です。

また本件は、当該地域におけるDDS第1号案件であるとともに、商工会議所や再生支援協議会、銀行系やその他公的な再生ファンド等が一切介入せず、独自案件として成約に至りましたケースです。

今後ともアジア太平洋マネジメントでは、必要に応じて本件のように再生企業の取締役として、質及び専門性の高い金融サービスの提供に努めてまいります。

以 上