アジア太平洋マネジメントからのお知らせ

新年のご挨拶

謹 賀 新 年

旧年中のご厚意に心より御礼申し上げますと共に、謹んで新年のお慶び申し上げます。

2025年中を振り返りますと、TDB(帝国データバンク)やTSR(東京商工リサーチ)の調査では、国内における企業倒産件数が、12年振りに10,000件を超過する見通しとなりました。一方で、倒産時の負債総額は大幅に減少する等、負債総額が少額である地場の中小零細企業の倒産が、倒産件数を押し上げている構造は明白です。

コロナ禍を脱し、売上高こそコロナ禍以前の水準に回復したが、円安進行に端を発した物価及びエネルギー高は、ドル建て決済を基本とする原材料の輸入コストの急騰により、企業の粗利率を大幅に毀損する形となりました。販売価格への転嫁もBtoC及びBtoB共に容易ではなく、従前より財務的な体力を認めない中小零細企業より、倒産が進行しているところです。

急激な物価高に対応するために、最低賃金が引き上げられましたが、中小零細企業の収益構造を圧迫していることは、事実です。更に、物価高の根底にある円安の是正には、日米の金利差の縮小が不可避であり、日本の利上げと米国の利下げにより一定程度の解消が見込まれるところ、現環境下における日本での利上げの実施は、借入過多の中小零細企業及び住宅ローン等を抱える一般個人等に、甚大な影響を与えるものと思料しています。

一方で、2025年度の我が国の税収は77.8兆円から78.4兆円と予測されており、6年間連続にて過去最高を更新する見込みです。これを「成長の果実」と捉えるか、「円安の果実」と捉えるかに因りますが、円安の進行を背景に、過去最高益を計上している輸出型の大企業と、原材料の仕入を輸入に依存する中小零細企業では、収益構造そのものが異なります。

急速な環境の変化に対応出来ない中小零細企業は、今後も間違いなく、倒産の道を辿るほかありません。「今までは、これでよかった」経営環境が、「これからは、今のままでは潰れてしまう」経営環境へ、明らかに変化しています。リーマンショックに東日本大震災、熊本震災に新型コロナウィルス、そして急激な円安進行と物価高によるコストの増加。もはや経営環境に、かつての「平時」を期待することの方が、間違っているのではないでしょうか。

アジア太平洋マネジメントでは、既に脆弱な水準の財務レベルに陥った企業の再建と、現状では脆弱性を認めない企業の将来への備えを、財務的見地より総合的にサポート致しております。先ずは盤石な「足元」を築き、強固に足元を固めた上で「未来」を想像する。身の丈に合わない企業の成長(つまり、自己資金の準備も無く、借入金によってのみ投資を繰り返す行為)は、外部環境の変化により、儚くも破綻してしまいます。

企業経営に於ける持続的発展(Sustainable Development)を財務構造的に追求し、投資と留保、利益とCFの整合性を担保した経営コンサルティング業務を、本年も継続致す所存でございます。本年も、皆様方のご指導・ご鞭撻を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

令和8年1月1日
アジア太平洋マネジメント
代表 青木道生